第32話 − 「護衛とは」
俺は『うぃる』。
マスターである萌お嬢様の護衛を務める、Act:Dollだ。

『しふぉん』とは同型機。
いつのまにやら『ぱふぇ』の名で再登録されていたが。

人間で言えば兄妹みたいなものか。
『彼女』は俺のマスターの妹、スゥお嬢様の護衛を担当している。

基本性能は大して変わらないが、俺は近接戦闘。
『しふぉん』はオールレンジ支援機として開発された。
大きな違いは自己修復機能。
通常1立方cm当たり2〜4時間ほどだが、
俺の場合はそれを極限の0.04秒にまで早めている。

この性能を生かし、文字通り盾となってマスターの身を守るのだ。
無論弊害もある。
活動エネルギーの大半が自己修復に費やされるため、
光学兵器などの高出力ユニットは使用出来ないのだ。
使えたとしても、極短時間に限られる。
そのためもっぱら主力となるのは、刀剣の類。

一方『しふぉん』・・・もとい、『ぱふぇ』の方は、
1立方cm当たり30分〜1時間。
俺と比べかなり遅い分、エネルギー消費も抑えられるので
超長距離用も含めた大出力ユニットの使用が可能となっている。
こいつは愛用の斬鋼刀『キリュウ』。
戦車をも両断出来、自己修復機能も有する優れものだ。
このほかにはスタンガン、緊急加速用のブースターなど・・・

・・・おっと、マスターがお呼びだ。

うぃる

うぃる


うぃる

うぃる
「うぃる。聞こえてますか?」
「あ、はい。なんでしょう?」
「ねえ、ミックスパフェが食べたいんだけれど。今すぐ。
「しかし、もう夜ですよ?調達するにも店が・・・。
 なにより、間食はさせないようにと、栄養士からも言い渡され」
「いいから!キッチンに行けば材料あるんだし、作って。」
「ですが、わたくしはなにぶん護衛用。料理はちょっと・・・。」
「え〜?ぱふぇちゃんは出来ますのに。」
「や、あの・・・・・・はい。」




うぃる
ぱふぇ
うぃる
ぱふぇ
うぃる
俺はうぃる。
萌お嬢様を『護衛』するのが使命・・・なんだが。


「ええーと、小麦粉と卵と・・・あれ?キャベツは余計だったか?」
「あの〜、うちのマスターにも呼び出し掛けられてるんですけど」
「ダミー置いてきたから大丈夫だ!」
「でもぉ〜・・・」
「いーから手伝えって!」




その頃スゥの部屋では




スゥ
「ぱふぇ〜。どこ行った〜?おーい?」






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