第2話 − 「飛べ」
たまえ「今日も家出中だって。あの自称天才は。」
よしこ「今日は隠れ家その3に居るって言ってたよね、スゥちゃんの小母さん。」
たまえ「いくつあるんだろ。隠れ家って・・・。」
よしこ「ぼくが知ってるだけで両手で数えるくらいあったけど。」
たまえ「一体どうやってそんなに部屋を確保してるんだろ?」
よしこ「さぁ〜・・・。」
よしこ「そもそも、家出の原因が『親との性格の不一致』とかって、なんなのさ。」
たまえ「・・・あいつは人気タレントの離婚会見か?」
よしこ「スゥちゃん、まるで家出する口実を無理やり作ってるみたいだね。」
たまえ「家出ばっかりするスゥちゃんもさることながら、家出に慣れてる親も親だよね。」
よしこ「うちなんか家出したことなんてないよ?」
たまえ「そりゃよしこちゃん、悩みなさそうだもんねえ・・・。」
よしこ「・・・うん・・・?」
スゥ「また見つかったか・・・まったくママってば、勘が鋭いって言うんだかなんなんだか。」
よしこ「いらっしゃいませ。お茶菓子にケーキ食べたい。」
たまえ「私は特上寿司で結構だから。」
スゥ「おまえら・・・で、今日は何の用?」
よしこ「えーとね、この間のパフェ屋さん貸して欲しいの。」
スゥ「んなもん持ってないわよ・・・町に出な。いくらでもあるから。」
たまえ「よしこちゃん違うって。自称天才の美化5000%増量品だよ。」
スゥ「・・・・・・なんかいやな物言いだが、ひょっとしてSU-04のこと?」
よしこ「うん。よく知らないけど多分それ。」
スゥ「ああ、あいつなら・・・」
スゥ「隣に立ってるじゃないの。さっきから。」
よしこ「え?」
たまえ「・・・なに、これ?」
スゥ「今ちょっとボディの修理中でね。とりあえず記憶保持に頭部をスペアに乗っけておいた。」
たまえ「え〜?じゃあパフェ作れないの?このスゥちゃんの本性みたいな奴。」
スゥ「本性って・・・ちょっと作れないかな?メインに比べて器用じゃないから。」
よしこ「スゥちゃんの鬼!悪魔!冷血動物!ぺちゃぱい!」
スゥ「・・・最後なんて言った?よしこ。」
スゥ「今調整段階だからしばらく外で待ってて。もうすぐ終わるから。」
よしこ「鬼・・・悪魔・・・茶渋・・・・・・つるぺた」
スゥ「・・・だから最後のは何?!」
たまえ「ねえ、どこか悪いの?」
スゥ「んー。実はこの子、か弱さを演出しようと『ハシより重いもの持てない』って風にしてたんだけど・・・」
たまえ「ふむふむ。」
スゥ「で、何を間違えたか『箸』が『橋』になっていてね。はっはっはっは。」
たまえ「・・・何を間違えればそうなるの?」
よしこ「鬼なんだ・・・悪魔なんだ・・・寸胴・・・」
スゥ「帰れお前は。」
よしこ「あーあ、せっかく来たのに骨折り損だよ。」
たまえ「まあ、もうしばらく待ってよう。出来ないわけじゃないんだ。」
よしこ「しかしこれ大きいなあ。あ、電子レンジにコーヒーメーカーまで付いてるよ?」
たまえ「全然顔と体が合ってないね〜。ほんとスペア用なんだろうか?」
よしこ「ラジオも付いてる・・・でもほんとに大きいねえ。なにで動いてるんだろうねえ。」
たまえ「・・・右脇のマークがすごく気になるんだけど。」
よしこ「あー、知ってるこれー。『放射能マーク』って言うんだよね?」
たまえ「正式名称知らないけど・・・大丈夫だよね?」
スゥ「終わったよー。頭持って来てー。」
よしこ「やた!」
よしこ「直ったー?」
スゥ「うん。ばっちり・・・多分ね。」
たまえ「お約束だと、電源入れた瞬間。」
よしこ「どかーん。
スゥ「やっぱ帰れおまえら。」
たまえ「お、立った。」
スゥ「よし。ジャイロ機能は正常・・・と。じゃあSU-04、他の機能の確認を始めて。」
よしこ「ねえねえ、目からびーむとか出ないの?」
スゥ「出るかっ!・・・なに背中まさぐってるんだ?こいつ。」
よしこ「それー。でびるうぃーんぐ!」
スゥ「だからそんなマンガみたいに物理法則無視した阿呆な機能は付いてるわけな」

ばさぁっ!

よしこ「でたー!(゚∀゚)」
スゥ「ぅぇえええええええええ?!」
たまえ「作者のあんたが驚かないでよ!」
スゥ「んな機能付けた覚えないわよぉ!」
ばさっ!ばさばさばさばさ・・・

よしこ「とんでったー!(゚∀゚)」
たまえ「・・・行っちゃったよ?」
スゥ「・・・・・・ま、まあ・・・気が済んだら帰ってくるでしょ・・・多分。」
たまえ「パフェ・・・。」
スゥ「おっかしいなあ。どこにあんなもん入って・・・」
よしこ「ねえねえぼくにも!ぼくにも今の付けて!」
スゥ「いつも頭飛んでるのに更に飛びたいわけ?よしこちゃん。」




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