第38話 − 「疑惑」
よしこ
芽亜
たまえ
芽亜
よしこ
「ねえねえ芽亜ちゃん。趣味とかあるの?」
「趣味ですか。空を眺めることです。」
「へぇ〜。いいよね、天体観測。」
細胞分裂って見てて飽きませんよね。」
「え?・・・空と関係ないんじゃ?」
芽亜
よしこ
芽亜
たまえ
芽亜
よしこ
「・・・・・・・・・・・・えーと」
「じゃ、じゃあ、特技は?手品出来るとか。」
「手品ですか・・・では一つ。」
「おっ?!」
「まず胸元に付いているリボンを外します。」
「それからそれから?」
芽亜
よしこ
芽亜
たまえ
芽亜 
よしこ
スゥ
芽亜
「すると、胸元にワンポイントが無くなるんです。」
「・・・」
「以上です。」
「あのそれ、手品言わない・・・」
当然です。
「いや、威張られても。」
「んじゃ、あたしも質問していい?」
「はい?」
よしこ
スゥ
よしこ
スゥ
たまえ
芽亜
スゥ
芽亜
スゥ
「なに?なになに?」
「気を悪くしないでね。率直に聞くけど、あんたロボット?」
「・・・えええっ?!」
「なんか雰囲気が人工的っていうかそんな感じが・・・。」
「そうかなあ・・・」
「『理知的』って言ってくださいよぉ。」
「そう言うのとはちょっと違う気が・・・それに、なんか目もさあ。」
「これはっ!義眼入れてるんですよぉ!」
「えっ、そ、そうなのか?」
芽亜
スゥ
よしこ
芽亜
スゥ
よしこ
たまえ
スゥ
芽亜

「まだ疑うんですか?そりゃあアタシ、カレー作れませんよ?!」
「いや、それはロボットかどうかの判断基準じゃないし。」
「それ言ったらスゥちゃんだってロボットだよねぇ?」
「だからといって、そんなことでアタシを疑うんですねぇ?!」
カレー作れないからじゃなくて、目がさぁ。」
「でもスゥちゃん。ロボットにしては性能低くない?」
「うん。記憶力とか。」
「まあ、うちの会社の製品レベルじゃないと思うけど。」
「目がちょっと普通じゃないだけで、ロボットだなんて疑うなんて〜!
 しくしくしくしく・・・」
よしこ
スゥ
よしこ
スゥ
よしこ
スゥ
よしこ
スゥ
「ほらあ。泣いちゃったじゃん〜。」
「あ、いや、ごめん。悪気はなかったんだけどさ・・・」
(あの目、結構気にしてるんだよ。)
(そ、そうなのかな、やっぱ?)
(そうだよ!スゥちゃんそーゆーのに慣れすぎだって!)
(うっ。)
(いまのうちに謝っちゃいなよ!)
「あ、ご、ごめんなさい。言い過ぎた・・・」
芽亜
よしこ
芽亜
たまえ
芽亜
スゥ
「ヒドイですぅ!そりゃアタシ、100桁のかけ算が苦手ですよ?!」
「え?いや、まあ人間なら苦手だし。」
「100m走だって3秒でなんて走れませんし!」
「普通走れないよ?」
「自慢と言えば一日中『の』の字書いていじけられることくらい!」
「それは・・・自慢出来ることなのか?」
芽亜
よしこ
芽亜
たまえ
よしこ

スゥ
よしこ
芽亜
三人
「ううっ。それなのに・・・それなのにぃ!」
「ごめんねえ。こういうのって、スゥちゃんのいつもの癖でさ・・・」
「だからってヒドイです!」
「まあまあ。機嫌直してよ。」
「あ、そうだ。
 お詫びに、芽亜ちゃんの好きなのをスゥちゃんにおごらせるってことで。」
「そ、そうそう。食べ物でもアクセサリーでも何でも言ってみな?」
「スゥちゃんお金持ちだし〜。」
「・・・じゃあお腹空いたんで、Doll用電池パックメカニカルグリスを。」
『あんた、ホントに人間?』





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