第63話 − 「望まなければ始まらない」

スゥ
芽亜
よしこ
スゥ
芽亜
たまえ
芽亜
スゥ
あ〜!も〜!何だって中三にもなって作文の宿題なんか!
「そうですよ〜!」
「『将来の夢』について書いてこい、か〜。」
「まったく!あたしらは小学生のガキか?!
「そのとーりです!」
「・・・しかし、受験生に出すような題材なんだろうか?」
「困ったもんです!・・・ところで、『商材の筆』ってなんですか?」
「『将来の夢』じゃあ!」
たまえ
スゥ
芽亜
スゥ
芽亜
「まあ、ロボットに将来の夢もへったくれもないだろうけどね。」
「そりゃあ芽亜には大して関係ない題材かも知れないけどさ。」
「『兄弟の布目』って何が関係あるのかわかりません。」
「だからさ。お前も少しは自力で調べるとかしろよ?!」
「はーい・・・」『Web国語辞典アクセス中...検索準備完了』
たまえ
芽亜
よしこ
スゥ
よしこ
スゥ
よしこ
芽亜
「でも真面目な話、将来の夢なんてあんまり考えてなかったね。」
『[ 庄内の梅 ]の前方一致での検索結果 0件』
「そう?!ボクはちゃーんと考えてるよ〜。」
「へぇ〜、珍しい。」
「ちょっと!珍しいってどういう意味さっ!」
「だってよしこが率先してなんかするなんて珍しいし・・・で、何になりたいわけ?」
「えへへ〜。ボクね、プリン屋さん。」
『[ 町外の馬 ]の前方一致での検索結果 0件』
スゥ
よしこ
たまえ
よしこ
スゥ
よしこ
スゥ
よしこ
「プリン屋って・・・素直にパティシエじゃダメなわけ?」
「プリ・・・パテ・・・プ・・・」
「えーとつまり・・・『お菓子職人』じゃダメなわけなの?ってこと。」
「ああ。最初からそう言ってよ。」
「今時パティシエで通じないなんて・・・まあいい。で?」
「うん。でね?ボクね、プリン屋さんの、容器の底にカラメル塗る仕事したいの!」
したいの!って、また偉い限定的だな?!」
「こだわってるの。」
スゥ
よしこ
スゥ
よしこ
スゥ
たまえ
よしこ
スゥ
芽亜
「でも、拘るならもう少しさ・・・こう・・・」
「いいんだよ。『夢』なんだから。」
「でも・・・ってまさか、作文に書くつもりなのか?」
「あったり前じゃん!」
「さすがに別の事書いた方がいいような気が・・・」
「それは切り札にしとかないと。宿題のはもう少し手札を見せなよ。」
「ん〜、そうだね。あっさり手の内読まれるのも嫌だしね。」
「うん、そうだ。そうしろ・・・」
『[ 競売の湯葉 ]の前方一致での検索結果 0件』
スゥ
たまえ
芽亜
スゥ
たまえ
よしこ
芽亜
たまえ
よしこ
「で、たまえは?」
「わたし、世界中を旅してみたいの。」
『[ 錠剤の常 ]の前方一致での検索結果 0件』
「おおっ夢だ!夢があるっ!」
「世界中を旅して、見知らぬ人との触れ合い。」
「そ、それで?!」
『[ 腸内の脛 ]の前方一致での検索結果 0件』
「そして世界を回った暁には!」
「暁には?!」
たまえ 
スゥ
よしこ
たまえ
スゥ
芽亜
たまえ
よしこ
たまえ
スゥ
よしこ
そのコネを生かして世界征服を!!
「・・・・・・。」
「だめじゃん。」
「冗談だってば。」
「あああ、少しでも真面目に聞いてたあたしがバカだった・・・」
『[ 詳細の揺れ ]の前方一致での検索結果 0件』
「旅したいのは本当だよ〜?」
「そうか分かったよ!旅しながらワニと格闘して、ハンドバッグなんかで一山当てる気でしょ?!」
「くぅっ!オチを読まれていたか!」
「もーあたし、お前らと縁切ろうかな・・・」
「冗談だよ〜。」
芽亜
スゥ
よしこ
芽亜
スゥ
芽亜
スゥ
芽亜
よしこ
たまえ
スゥ
『[ 正体の尾瀬 ]の前方一致での』
「・・・そういやこいつ、何さっきからブツブツと?」
「さあ〜?」
「検索結果・・・0・・・件・・・」
「芽亜〜?」
「ダメです!全然ヒットしません!」
「まさか、言葉の意味をずっと検索してたのかぁ?!」
「でもスゥちゃん、少しは自分で調べろって言いましたよぉ?」
「うんうん。確かにスゥちゃんそう言ったよね。」
「スゥちゃんわがまま〜。」
「お前らな・・・」





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